本田 亮 個展開催記念スペシャルライブ「町田稲荷の狛狐~夜と狐と町の歌~」ライブレポート

開催:2017年12月11日

2017年12月5日、町田市在住のイラストレーター・本田 亮の個展「町田稲荷の狛狐 at パリオ」を記念した
スペシャルライブがまほろ座MACHIDAで開催されました。
この夜のために描き下ろされたイラストがスクリーンに投影され、3組のミュージシャンの音楽も楽しめる特別な時間となりました。
福原希己江さんは展示作品を元に作った新曲を初披露されました。

「この町で歌に出会う、この町の歌に出会う」

日が沈む頃にパリオに着くと、
2階のエントランスにクリスマスツリーが飾られていることに気付く。
先日のキッズフェスでも子どもたちを見守ったツリーが
出迎えてくれるのが嬉しい。
3階に上ると、初日から見ていた個展へ。
週末と昼のにぎわいが過ぎて、ポツリポツリと訪ねてくる方のいる、
夕暮れの静かな展示だった。
双子の狐たち、もうまほろ座をのぞきに行っていたのかな?

地下へ降りると、開場前に列ができている。
「ご無沙汰してます」「先日はお疲れ様です」と
言葉を交わすうちに扉が開く。

入り口を抜けると青く輝くステージ。
これからの音楽を思い浮かべて、まだ眠っているような楽器たち、
作品を宿したスクリーンを眺める。
「いらしてたんですね」「こちらの方は」と話し込んでいると、
気がつけば客席がほとんど埋まっている。
グラスの中の透明なサイダーに射す灯りも消えると、
狛狐たちの物語が始まる。

街の雑踏、赤い鳥居から出てきたふたり。
今日の町田は、なんだかにぎやか。
ギターの音色が聴こえてくる。

小浜里砂さんの歌声が、今夜の世界へ誘い入れてくれる。
70年代のカバー曲が時代の隔たりを消してしまう。
明るい微笑みに、この曲この時間を楽しんでいるのが伝わってくる。
「タイムトラベラー」、
昔と今を描いた個展に応えるようなオリジナル曲。
未来へ未来へと進む希望が溢れている。

狛狐たちは鶴川へ。
団地の近くの骨董店に五人組が集まっている。

SHIWASU Clubは冬の歌を奏でる。
楽器で語り合う友達の輪に入れてもらったような。
大晦日から元旦に変わるあの時の、みんな一緒に過ごしている
あの感じが好きと始まった「End of The Year」。
きっとそれは個展を見ながら町田の話がふくらむあの感じと同じ。

狛狐たちが今夜最後に訪れたのは、
リュートを抱えた二人組。

福原希己江さん、田村仁良さん。
ヨーロッパの古楽器でどんな演奏をされるのかなと
少し身構えていたところに、「せーの」の声。
ホッとした心が、繊細な演奏にサラサラと引き寄せられていく。
個展の物語に共鳴するように、語られる世界、弦の響き、静かな歌声。
「町田稲荷の狛狐の歌」を聴きながら思い浮かべたのは、
今までのこと、これからのこと、あのひとのこと、それから、この街のこと。

明るくなったまほろ座で、
「ありがとう。ありがとう。またね」と贈る言葉が、
歌声のように、狛狐たちの街を見守る眼差しのように広がる。

今夜、この街に一緒にいられたこと。
この時間にありがとう。

<文・写真:北村友宏>

パリコレッ! presents
本田 亮 個展「町田稲荷の狛狐 at パリオ」は
12/1~12/16まで
3Fフリースタジオ・パリオにて開催中。