町田まわるまわる図鑑 〜パリコレッ!ギャラリー・アーティストインタビュー〜 <アーティスト:大西里子>

開催:2022年2月28日(月)

町田で月イチでアートが楽しめる「パリコレッ!ギャラリー」。
第19弾は町田市在住の油絵画家:大西里子さんです。
今回の展示タイトルは「美しいものへの憧れ」。
大西さんの作品について、インタビューで迫ります。

●絵を描き始めたきっかけを教えてください。
小学校2年生の冬休みに、先生から「クラス代表でコンクール用に絵を描いてほしい」と連絡があったんです。そこで何を描こうかな、と考えたときに、弟が一生懸命凧揚げをしている姿がすごく可愛かったので、絵にしました。結果、その絵は賞をいただいたんですね。その時に、私は他の人より絵が描けるのかな?と意識したことがきっかけだったように思います。
絵を描くことは好きではあったのですが、一筋というわけではなく、遊びやダンスも好きで、頼まれれば描くぐらいの熱量でした。中学や高校でも、そんなに絵は描いていませんでしたね。

●美術大学をご卒業されていますが、進学した理由は何ですか?
高校3年生になって、お裁縫が上手な子は洋裁学校に行ったり、勉強ができる子は外国に留学に行ったりしている中で、「さて私は何を・・?」と思ったときに、絵かなあ、と思いましてね、武蔵野美術大学の短大に進学しました。卒業後は中学校の先生になろうと思ったのですが、中学校は朝7:30くらいに学校に着いていないといけなくて!その頃はすでに結婚していたので、主人を送り出したり子供のことも考えると学校の先生にはなれないなと思って、絵画教室の先生になりました。

●絵画教室では、何を教えられていらっしゃいましたか?
油絵や水彩など、基本的なものは全て教えていました。段々と広まって、気づけば相当な生徒さんが来てくださいました。生徒のために、皆で一緒に展示を開催したこともあります。成長を見守っていくのは本当に楽しくて、自分は教えることが好きなんだと気付きました。

●普段油絵を制作されていますが、なぜ油絵を選んだのですか?
水彩は透明感、油絵は重量感がありますよね。私は油絵の重量感に惹かれました。あと、自分の描き方は油絵が合っていると感じています。描いたものを見れば見るほど気になる部分が出てくるので、少しずつ直していきます。良くも悪くも気が多い性格なんですよね。水彩は一度塗ってしまうと直せないですが、油絵は上から絵の具を重ねればいくらでも直していくことができるので、直す過程も楽しみながら制作しています。

●絵画教室のほかにも、ご自身の作品を二科展(*)に出品されたり、銀座の画廊での展示など、多方面でご活躍されていらっしゃるそうですが。
二科展に出品したのは、主人に勧められたからです。絵画教室の先生をやっていくにあたって、何か経歴を持った方がいいんじゃないかって。銀座での展示はよく開催していました。中でも銀座かねまつホールでの個展は、当時技量がないと出来ないと言われていたので、展示できた時はとっても嬉しかったですね。
*二科展とは…新国立美術館で毎年秋に開催している展覧会。大正3年から開催されており、藤田嗣治・岡本太郎など、多くの著名な芸術家を輩出している。

銀座かねまつホールで展示された時のDM。

●大西さんはどんなイメージで作品を描いていますか?
夢の世界を感じさせる、幻想的で美を追求した作品を描きたいと思っています。例えば人物を描くとき、私が描く女性は普通に考えると首が長すぎるんですよね。描き始めた当初は人物らしい人物を描いていたのですが、絵として美しい女性を追い求めていった結果、どんどん首が長くなりました。現実を描くのではなく、私自身の夢を絵の中で追求しています。“夢見る夢子さん”ってあだ名を付けられたこともあります(笑)

●よく描くモチーフは何ですか。
少女やお花、エンゼルですね。エンゼルを描くと途端に絵の中が夢の世界になるので、よく描いていました。少女は特にモデルがいるわけではなく、自分のイメージの中の少女を描いています。お花はポピーが好きですね。それ以外にも現実にあるお花だけではなく、私の想像上の美しいお花を描くことも多いです。

●町田に住まれてどのくらいですか。
25年くらいですかね。今はつくし野に住んでいます。つくし野含め、町田は坂が多いですよね。よく夕方にウォーキングをするのですが、坂道から見下ろした家々の灯りが好きです。
そういえばつくし野駅には、岡本太郎が制作したタイル張りの壁画があります。最初は岡本太郎制作といったキャプションがあった気がしたんですけれども、今は設置されていないですね。知らない方も多いんじゃないでしょうか?

●今回の展示にあたり、来場者に向けて一言お願いします。
人物画や花の絵、静物画など、100号の大きな作品や6号の小作品まで、30点ほどの展示です。また、町田市美術協会に所属していた時に出品したもので、市長賞をいただいた作品や、人生で一番の傑作と思っている作品も展示します。たくさんの方に見ていただきたい、お越しいただきたいと思っています。コロナ禍ではありますが、是非ご来場ください。

大西里子 プロフィール

町田市つくし野在住。武蔵野美術短期大学部油彩科卒業。銀座かねまつ画廊で個展開催。他、二科会出品等。中学・高等学校美術教員免許取得。青葉台・鷺沼のカルチャースクールで油絵を教える。

パリコレッ!ギャラリー vol.19
大西里子
「美しいものへの憧れ」

町田市在住の油絵画家・大西里子の個展を開催。幼い時に見た美しい夢のような、幻想的で清らな油絵の数々が楽しめる展示会。女性と花をモチーフにした「フローラ」シリーズ、ヴェネツィアの風景を描いたシリーズなど、20点に及ぶ油絵が並ぶ。手に取りやすい小品から、100号の大作も展示。

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